クアトロワークショップ
私も個人的に弾きたくて、ベネズエラに行く前から、着いたらすぐ手に入れようと思っていたのだった。
カラカスでは難しかったので、任地赴任から一週間ほど後、クアトロ生産で有名な街、バルキシメトで一番安いのを購入。
というのは前置き。
Instituto Municipal de Cultura(文化振興課)のアクティビティ、8歳〜15歳の子どもたちにクアトロを教えるというワークショップ(Taller)に参加させてもらった。
先生が一人、市役所の職員が一人か二人来て教えるのだけれど、先生は大勢のグループに教えたことがなくて、子どもは騒ぎっぱなし、職員は怒鳴りっぱなし、楽器の数は足りなくて、あまり満足できる状況ではない模様。それでもみんな、Taller開始の5分前に行くと、もう子どもたちは外で集まって待っている。
Tallerは二週間続き、最後には学んだことの発表を行うとのこと。
最後の発表の日にはカラカスに行くため立ち会えないのだけれど、発表の前日に、リハーサルみたいなものを行って、子どもたちがクアトロを弾きながら歌を歌うのを聞かせてもらった。
完成度をいうと疑問が残る部分もあるけれど、取組み自体はとてもいいと思った。
今回が初めてのTallerで、同じものを他の地区でも順番に行っていくそう。
Feria de la Macanilla
5月10日は、市内のCurimaguaという地区でイベントがあった。
この地ではJosé Leonardo Chirinoという名前が、Simon Bolivar並みに登場する。
彼は、このCurimagua出身で、黒人奴隷解放のための蜂起を主導し、決行された5月10日が記念日としてその功績が讃えられている。
目を引いたのはその市場で、自然薬品を売っていた。野草を煮詰めたもの、コクイという伝統的な酒に植物の実や根っこなんかを漬けたもの。藤野で、90近くのおばあちゃんから、似たような自然薬の作り方をパーマカルチャーのコースで学んだのだった。気になる!
さらに驚くべきは、この地域では地域通貨を使った市が開かれているのだった。今回のイベントでは見なかったけれど、2007年から実施されていて、全部で13の地域、11州にまたがり取り組まれている。
コミュニティ化、地域化の取組みや考えが、いろんなところで見受けられて、Socialismoの国だと実感することが多い。学ぶものがたくさんある、と同時に、より理想の形に向けて、外から何か触発できるものがあるか、考えていきたい。
Educación Socio-productiva
5月9日
任地赴任から2週間、怒涛の挨拶回りは2日で終わり、カウンターパートは忙しく、手持ちぶさたでうろうろ。Dirección de Educación(教育課)の課長さんと話をしていたら、明後日中学生のアクティビティがあるというので参加させてもらった。
50人くらいの学生が集まり、7人1チームに分かれ、競う。内容は、町の中心地内の各拠点に行き、市の歴史や文化や地理的景観に関するクイズに答えるというもの。全ての質問に答え、早くスタート地点に戻ってきたグループの勝ち。
ほとんどの生徒が真剣で、そのおかげでひとつのグループと一緒に参加させてもらった私もだいぶ走らされ、いい運動になった。
教育課の他に、INPARQUES(国立公園の維持管理をしている国の組織)、その他観光に関わる団体も関わっていて、顔を知ってもらったので参加できてよかった。なにより、子どもたちに顔を知ってもらえたのが大きくて、道を歩いていると至る所から名前を呼んでくれる。
他にもリサイクルやごみの分別、植樹や野菜の種まきなど環境教育も熱心にしているようで、なにか一緒にできたらいいね、という話をしてくれた。有難い。
いろいろ勇気をだして飛び込んでみると、いろんな可能性が生まれるもので、1日に一回は、リスクを伴う行動を起こそうといま一度誓ったのだった。
最初の週末
ステイ先のおばあちゃんのお孫さんが、金曜日の午後からステイ先に来ていて、朝から一緒に遊んでいた。
3歳と4歳の女の子。追いかけっこ、まくら(クッション)投げ、お絵かき、おりがみなど。写真はそのふたり。アイスをたべている。
日曜日は、村の中をおばあちゃんと散歩。おばあちゃんの友人でエコロジストの画家のお家に遊びに行き、親戚の家の農場を見せてもらい、国立公園内に建つposada(民宿)の見学をし、ビリヤード場でビールを飲み、ranchoの広場でpastelitoを食べながら、昨日知り合いになったおばあちゃんの友達で革細工の職人さんの話を聞き、昼前に家を出たのにもう日が沈んでしまった。
たくさんの素敵な家、素敵な場所、素敵な人に出会い、私は、この村が、とても好きだと思った。
特にranchoが印象的で、ranchoといえばベネズエラでは一般的にスラムのことを指す(と思う)のだけれど、その場所では、古い遊具とテーブルとイスとドミノ(卓上のゲーム、サイコロみたいなやつ)があり、子どもも大人も集まって、会話をしたり遊んだり飲んだり食べたりしながらゆったりと午後を過ごしていた。町の外れで、そこからは森が見渡せる、実際とても気持ちのいい場所。
ranchoまでの道は確かに街灯もひとつもなく、道も整備されてるとはとても言えない。
広場のすぐ裏はちょっとした崖で、下の方には排水やゴミが流れ着き、酸化した水が溜まって大きな湖ができている。
職人さんは、ranchoに集まる子どもたちのことをとても心配していて、というのも、子どもたちはたいてい子どもだけでこの場所に来て、勝手に遊ぶのだけれど、子どもがどんな危険な遊びをしようが、アルコールを飲もうが、暗くなるまで帰らなかろうが、責任をもってしつける親がいないのだそうだ。
ほとんど錆びて崩れそうなシーソーに10人も20人もぶらさがってけらけら笑ってる子どもたちを見ていて確かにひやひや。でも、この場所があるということが、私の目から見ると、とてもいいことのように思えた。人が集まる場所はいい。
政府が支援をしない、お金がないことに文句をいうよりも、ちょっとずつ自分たちで変えていこう、という風に働きかけができたらいい。
子どもと一緒に遊びながら、遊具を安全に大切に使うことが教えられないだろうか。
周りでビール飲んでる大人を巻き込んで、サッカー教室とか、ギター教室とかできないだろうか。
暗がりの中帰り道を歩きながら、そんなことを思った。
観光についてはまだ何をすればいいかさっぱりだけれど。
明日からまた新しい週だ。
Cabureにて、任地2日目の印象
カラカスから離れ、任地のファルコン州へ。
ファルコン州は、ベネズエラの北東、南米の一番北にあたるパラグアナ半島がある場所。カリブ海に面しているので常夏かと思いきや、少し内陸へ行けば山間部に入り、涼しく過ごしやすい気候になる。Cabureは、その山間部にある小さな村。
カラカスからパラグアナ半島のLas Piedrasという所まで飛行機で2時間ほど飛び、そこからCabureまで車で3時間。
道中、コロニアル調の世界遺産の町Coroを通り、Los Médanosという砂丘を過ぎて、あとはひたすら山道を登る。
気がつくと国立公園のなかに入っていた。点々と建つ家々、立派な門構えのものからセルフビルドな土壁の小さなものまで、ヤギ、馬、オレンジ色の花を無数につけた大きな木々、それらを取り囲むジャングル、鳥の声(途中で窓をあけることを許してくれた)、小さなaltares(キリスト教の祠みたいなもの)、霧、焼畑、そんなものを横目に通り過ぎながら、どんどん進む。
そして、小さな村に入り、教会の前で、一人の女性と落ち合う。彼女が、カウンターパートだ。
その後、ホストファミリーの家へ。
鮮やかな黄色と黄緑の家で、家の前にはロッキングチェア。とても素敵な家。
一番素敵なのは、色んな人が家に遊びにくること。着いて二日目の印象だけれど、観光に期待している人が思った以上に多いのだと思った。そして、なにより情熱がある。一緒になにかできそうな人が、今のところ、3人も見つかった。
アイデアはあるけれど、どうやって実現したらいいかわからない。
水や電気や道路の整備や交通手段、そしてゴミ収集のためのシステム、インターネット、そういったインフラが全然整備できていないこと。
財政面での支援が決定的にないこと。資本がないので必要な道具や労働力を揃えるのも難しい。
そんな話をたくさん聞く。
要請票には資金提供の話はいくつかあると書いてあったので、それを実行に移すことは大きなことかもしれないと思った。
また、ハードではなくソフト面で!ということを根本的に意識しようと思っていたことだったけれど、ベーシックなハード面がないと難しいのかも、、いや、パーマカルチャー的に解決できないだろうか?そんなことを悶々と思った。
また、観光課のオフィスは文化振興課と同じ建物で、アクティビティなどを一緒に行うことが多いという。
そこでは子どもたちにワークショップを行っているのだけれど、楽器が不足しているとのことで、JICAの「世界の笑顔のために」というプロジェクトを利用できるかも、というのも頭の片隅に。
今のところ一番の問題は、自分自身が観光に対してどんなビジョンや期待を抱いているのか、それをうまく説明できないことだ。村の人たちが求めている事を形にしたいということもあまり満足される答えではなく、また自分が個人的に取り組んでみたい観光のあり方も、どうやって、という部分がまだ具体的に説明できる状態ではなく、あんまりぱっとしない。今週末の宿題は、ここをもっと詰めること。
来週は、とにもかくにも、聞くことより話すこと、自分の思いを伝えることを意識する。
Avila山へ
連休最終日、カラカスからすぐに行ける国立公園、Parque Nacional la Avilaに連れて行ってもらった。
海岸沿いに連なる山々全体が国立公園になっていて、最高峰は2,765mだそう。
今回はロープウェイで1,500mくらいのところまで。上までは15分くらい。
ロープウェイからはカラカスの街が一望できる。山の方を見ると、ところどころに登山道が。歩くとだいたい5時間くらいで登れるとのこと、歩きたい。
ただ、ここは先日殺人事件があった場所でもある。だいじょうぶなの?と聞くと、そんなのどの場所でも起きてることだから大丈夫!と。みんなそんな意識。
行ってみると、確かにいたって平和だ。(ロープウェイ地点の付近は若干barrioらしくはあった。子どもが物乞いしていたりとか)
さて、頂上。
日曜日ということもあり、人がたくさんいた。
おみやげ屋さんが並び、大道芸に人が集まり、道ではしゃぼん玉を売っている。
そこからピックアップでガリパンという村に行く。メイン通りは石畳、その他は舗装なし、瓦屋根のおみやげ屋さん、お花屋さん、レストランが並ぶ。
村の入り口に馬が15頭ほど繋がれていて、乗馬もできる。
家族連れが多く、のどかな雰囲気。
国立公園というよりは、テーマパーク的。
ひとつひとつのレストランが狭い、自然があまり感じられない、砂ぼこりがひどい。名物は、いちごの上に生クリーム山盛りのパフェ的なもの。不思議。
でもカラカスの市民が日帰りで訪れるにはちょうどいいのかもしれない。ロープウェイに乗るだけでも結構楽しかった。
やっぱり、ベネズエラの問題は、治安だ、と思った。
他の中南米だったら強盗で済むところを、ここでは命まで取られてしまうケースが多い。
きた初日から、JICA事務所にて最初に聞かされたことが、おととい目の前のホットドッグ屋で殺人があってさあ、という話だった。
観光地で治安が悪いって難しい。
こんなに治安が悪いのは、カラカスだけなことを願う。