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2014年4月よりJOCV、ベネズエラにてアグロエコツーリズム開発のサポートを。

ミ・ファミリア  悲しいのに笑い、泣きながら踊ったベネズエラの日々

ボランティア連絡所の本棚で見つけた一冊。

ベネズエラ人の彫刻家と日本で出会い、スペイン語もベネズエラの事情も知らぬままベネズエラへ移住した女性の話。

ベネズエラのことが、美化されるでもなく、悪い面ばかりを見るのでもなく、底抜けの魅力と、本当にしょうもない、どうしようもない部分がありのまま表れている、とてもきらきらした、生き生きとした文章だと思った。

もちろん私が今ベネズエラにいて、情景をありありと想像しながら、むしろ想像ではなく実際に目の前で観察しながら読むことができるから、この本の魅力が何割か増して映るのかもしれない。でもそれを抜きにしても、ベネズエラに興味があったら一読の価値がある本だと思う。

 

結論を言ってしまえば(まあ冒頭そこから始まるのだけれど)この結婚はうまくいかなかった。彼女は心身ともに疲れ果てて、一人息子を連れて日本に帰ることになる。それでも、日本とはまったく違うこの大家族コミュニティの中での彼女の振る舞い、様々な出来事へのリアクション、一生懸命さ、ささいなことから大きなことまでのひとつひとつの挑戦、そういうものがページをめくるごとにめまぐるしく飛び込んできて、恵まれた状況に甘えている自分を叱咤激励してくる。

一時、バリオと呼ばれるカラカスのスラムにも住む羽目になった彼女の境遇は、たぶん日本人では他に類を見ないだろう。もし私達隊員が足を踏み入れたら一発で強制帰国の立ち入り厳禁区域。そういう意味でもとても貴重な体験談ではないだろうか。

話が逸れるけど、外務省とか大使館なんかから「危険地域」として指定されている場所、そういう場所にも家庭を持って住んでいる普通の人々と日常があるのだ、ということを、体験として知っているというのは、個人的にとても価値のあることだと思う。この本には、バリオのそんな暮らしも描写されている。

 

その他にもおかしくてつい声に出して笑ってしまったり、苦しみやストレスが自分のことみたいに感じられたり、自分の感情も本を読み進めるなかでくるくると踊っているみたいだった。アラグアネイとか、ポンシゲとか、ベネズエラならではの単語がでてくるのも、なんだか嬉しい。Ali PrimeraのTechos del cartonはこの時代の曲だったのか、とか、もう勝手に著者と友達気分でベネズエラ話に花を咲かせているような気持ちになってしまった。

 

最後に、解説から引用させてもらう。

ラテンアメリカの人々は「陽気で、明るい」のではない。彼ら・彼女らは、「陽気に、明るく」生きているのだ。その陽気さも明るさも、悲しみや苦しみと表裏一体なのである。苦境のどん底にあっても踊り明かして鬱憤を晴らし、家族の失態をジョークのネタにして解毒し、自分の不遇を笑い飛ばして明日の活力を生み出す……そうした人びとの姿が、活写されている。それが本書「ミ・ファミリア」の大きな魅力である。

 

おすすめです。