スペイン植民地時代の古道を行く
ファルコン州には、4つ、国立公園がある。
Parque Nacional Los Medanos
州都コロからパラグアナ半島に渡るその入り口に位置する、広々とした砂丘地帯。
Parque Nacional La Cueva de la Quebrada del Toro
州の南部、ララ州方面にある国立公園。森林、鍾乳洞の洞窟、豊かな生態系が魅力。
Parque Nacional Morrocoy
ベネズエラ人のファルコン州のイメージはここ。白い砂浜と青い海がめいっぱい広がる国立公園。
Parque Nacional Juan Crisóstomo Falcón
州の中心、山間部に属する国立公園。森林、鍾乳洞の洞窟、滝、豊かな自然の貯水槽である中南米最大の地底湖を有するほか、スペイン植民地時代の遺跡も残る。
4つめの、P.N.Juan Crisostomo Falconについて。
先日、INPARQUES(Instituto Nacional de los Parques、国立公園管理局)と、INATUR(Instituto Nacional de Turismo、観光局)のひとたちと、この国立公園内にあるスペイン植民地時代の古道を歩いてきた。
スペイン語では、Camino de los Españoles(スペイン人の道)という名前がついているものの、実際にはこの道を築いたのは奴隷の人々。ひとつひとつ岩を削り、石を運び、並べていくというその工程を想像すると、途方もない気持ちになる。その名残が、道中に残る"奴隷の太鼓"と呼ばれる遺跡に表れているよう。(実際に太鼓として使われていたのかは不明らしいが、そういう名がついている。)石だと思ったら、材質は鉄だという。
また、ところどころにオレンジ、バナナ、コーヒーの木が野生化して残っている。これらも、スペイン人のプランテーションの名残だとか。コーヒーはつまめなかったのでわからないけれど、オレンジは、大きくて甘身が強く、とても美味しい。バナナはまだ青い木が多かった。
分岐点であるTres Crucesitas(三つの十字架)を過ぎる下りが続く。今は雨期に入っているので、道はぬかるみ、石がなかったらとても歩けない。
このトレッキングルートは見所が盛りだくさんで、古道の石畳だけでもとても美しいのだけれど、同じく植民地時代の橋があったり、道中いくつもの洞窟があったり、さまざまな種類の蝶がとんでいたり(鳥の数も多いのだけれど、大勢で歩くと観察はとても難しい)、伝統的な家と栽培作物の畑の脇を通ったり、文化と自然の両方が垣間見れるとても興味深い道だと思う。
今回のトレッキングは、国立公園管理局が観光局の職員を招き、観光開発に向けた研修を行う目的で実施されたもの。国立公園に指定されてはいるけれど、整備が行き届いておらず、まだまだ観光客を誘致する状態ではない、というコメント。また、調査も不十分で、古道の長さは全長何キロだとか、何年に建設されただとか、そういうデータもガイドの手元にないらしい。
開発には時間がかかるだろうけれど、何が必要なのかという事が、とても明確になった研修だった。