現在は過去の「現在」の積み重ねであるということ
外の世界には、山や川や動植物といった自然があり、科学や産業や政治といった人為があり、規則があり、偶然があり、悪意があり善意があり無為がある。
著者はそれにランク付けをしない。怒ったり笑ったり、いちいち正直に反応しながらも、あるがままにすべてを受け入れ、結局は楽しんでしまう。
(池澤夏樹著「インパラは転ばない」巻末 旅びとの資質(松村栄子)から)
まさに、自分が目指しているものはここにあるのだと思った。
今私たちが生きている世の中は、過去が積み重なった上にあり、過去はまた、それ以前の過去が積み重なった上にある。過去の人たちは、そのときそのときで「現在をより豊かにするために」考え、努力し、行動して、今を積み重ねてきた。未来のことなどわからない中で考えられるだけのことをしてきた。
そのなかに例え悪意があり、自然を侵す人為があり、他者を思いやる余裕のない保身があったとしても、私たちは、それを「否定」せず、今考えられる、「現在をより豊かにするため」の方法を、実践していくのみだと思っている。
「愚行」と呼んでしまうこともできるけれど、先人を否定するだけというのは、とても悲しいことのような気がする。
いろいろなことにランク付けをせず、人為であればその行為の先や原点にあるものを見つけられるようになれたらいい、と思う。